向回路

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20120104

2011/12/29(Thu) 第91回 天皇杯全日本サッカー選手権大会 準決勝 (国立霞ヶ丘陸上競技場)
横浜F・マリノス 2-4(前後半2-2、延長0-2) 京都サンガF.C.
<得点>
(横浜M)渡邉千真、大黒将志
(京都)工藤浩平、ドゥトラ、久保裕也、駒井善成

 天皇杯・国立。もちろん天皇杯で久々にこの位置まで来れたのは嬉しいが、それ以上に国立で戦えるのが何より嬉しい。2002シーズンの天皇杯は、個人的な事情で応援に駆けつけることが出来なかった。だからなおさらそう思うのだろう。だがしかし、まだ準決勝。今日勝てばもう一度国立に立つことが出来る。上等じゃないか…

 国立競技場。サンガの前回試合は、2007年のJ2東京ヴェルディ戦。徳重のゴールで先制したが、ロスタイムに当時ヴェルディのディエゴに決められて1-1ドローとなった試合。この試合は珍しい2nd黒ユニ。勝率の良かった黒ユニで勝てなかった試合として印象に残っている。今日の天皇杯はトーナメント、もちろんホーム・アウェイの区別は無いが、サンガはメインスタンドから向かって右、アウェイ側に陣取る。ユニもアウェイのゴールドだ。
 対戦相手は横浜F・マリノス。準々決勝では名古屋グランパスをPK戦で下して勝ち進んできた。PK戦でも当たりに当たっているGK飯倉に、ご存知中村俊輔。今期のJ1は5位。鹿島戦に続き再び格上のチームとの戦いになるが、その方が割り切りも出来る。実際J2同士の戦いとなった湘南戦の方が、鹿島戦より厳しい戦いになったのは事実。胸を借りる気持ちで、真正面からサンガのサッカーでぶつかって欲しい。今日は累積警告でチョンウヨンが出場停止、代役を務めるのは加藤弘堅。今期限りでの契約満了がすでに発表されているが、ここで大役が回ってきた。
 さすがに関東のクラブ、F・マリノス。サポーターも大挙して押し寄せてきており、レプリカ率はそこまで高くは無いが、ホームゴール裏はほぼ満席状態。一方アウェイゴール裏のサンガサポーター、数では確実に負けている。声の大きさでも厳しいのは事実。いや、数じゃないんだよ。数じゃ…
 そして試合前には大分で行われていた高円宮杯でサンガU-15が優勝したとの速報がゴール裏に入る。トップも続け!


 15:03、サンガボールでKICK OFF。試合序盤は鹿島戦と同じだっただろうか、マリノスに押し込まれる展開が続き、輪をかけるようにサンガのファールを多く取られてしまう(というかマリノスのファールの貰い方がうまい)。90分でマリノスのFKは21、何度中村俊輔のFKを見たことだろうか。しかし30分過ぎからサンガもボールを繋げるようになり、中山博貴のボレーシュートに始まり、36分に宮吉のダイレクトシュート、37分にはCKに合わせた秋本のヘディングはGK飯倉が掻きだし、さらに流れからの秋本のシュートはバー直撃、そのこぼれ球を加藤弘堅を狙うがこれもポスト。準々決勝での湘南のバー&ポストが今度はサンガに来てしまったか。しかしこの流れで得点を奪えなかった42分、中村俊輔のスルーパスがサンガDFの裏に抜けてしまう。これを受けたのは大剛弟、渡邉千真。GK水谷もかわされてしまい、先制点はマリノスの手に。
 だが決して気持ちが切れることの無かったサンガ。後半開始早々の50分、中盤でフリーになった工藤がドリブルで前線に持ち込む。宮吉の動きにマリノスDFが釣られて出来たシュートコースに打ち込んだ!前日に第一子が生まれた森下を祝福するゆりかごダンスでサンガ同点!さらに72分。ドゥトラのドリブルを倒されて今度はサンガがFKを得る。ゴールやや右、チョンウヨン不在の中、キッカーはドゥトラ。放たれたシュートは見事な弧を描いてマリノスゴールに吸い込まれた。サンガ逆転!サムライドゥトラ!(切られ役のウヨンがいなかったが) その後はマリノスの怒涛の攻め、サイドチェンジ、ロングボールでどんどん前線にボールを運ばれるが、スコアは動かず。秋本に代えて内野を投入し、試合もう残り僅か、というところでドラマは起きた。こちらのゴール裏では良く見えなかったが、どうやらその内野が水谷へのバックパスを手で処理していたらしい(故意か偶然かは分からないが)。これを主審・佐藤氏はスルー。当然大抗議のマリノスベンチだが、そのまま試合は続く。表示されたアディショナルタイムの4分が終わろうとするまさにラストプレイ。中村俊輔のクロス、一度は水谷が弾くがをこぼれ球を中澤と大黒のツインシュート。まさかの同点。勝利を確信して「京都まつり」を歌っていたサンガゴール裏も静まり返ってしまう… そして90分終了の笛。延長戦突入。

 いや、まだ同点。この素晴らしい準決勝という戦いを、あと30分することが出来る。気持ちを切り替えバモ京都。ビジョンに映るサンガの選手の顔は一様に明るい。先制ゴールの工藤にも笑みがこぼれる。よし、大丈夫だ…

 延長戦開始。さすがに90分を走った両チーム、サンガもゴール前になかなか運べずにいる。だがサンガには切り札が残っていた。すでに90分で交代枠を使い終えていたマリノスに対し、サンガは1枠残していた。延長前半が終わる直前の104分、ドゥトラに代えて久保裕也投入。
 運命の延長後半。大黒のヘディングシュートがクロスバーを叩く。まだ運はサンガに味方している。そして120分終了までのこり4分、歓喜の時がやって来た。投入されてから前線を走り回っていた久保に工藤からのスルーパスが通る。形としては鹿島戦のウヨン→宮吉と似た形だろうか。ドリブルでゴール右に持ち込む。「感覚で打った」というシュートがマリノスゴールに突き刺さりサンガ勝ち越し!サンガベンチからは控え選手も飛び出して歓喜の渦、当然ゴール裏でも雄たけびが上がる。アディショナルタイムは1分、いよいよラストプレイ。マリノスのロングボールを跳ね返すと、左サイドを駆け上がる久保にボールが。時間稼ぎをするのか?いや、攻める。マリノスDFの間を抜けるパスを中央に送ると、そこにはフリーの駒井。試合を決定付ける4点目が決まり、今度こそ試合終了の笛。120分の激闘を4-2で制し、ついに決勝へ駒を進めた!


 決勝ゴールの久保、4点目の駒井はサンガU-18出身。去年の12月はJユースカップ決勝トーナメントを戦っていたが、準決勝のFC東京U-18戦で0-1で敗れ、3位で大会を終えている。久保・駒井共にその試合にはスタメン出場。悔しい思いをしたあの試合から1年後、今度は天皇杯という大舞台でやってのけてくれた。あの時には叶わなかった、決勝進出だ。久保のゴールの瞬間、駒井のゴールの瞬間、そして勝利のビッグフラッグの瞬間。涙がこぼれてきた。
 もう一試合の準決勝、大阪長居スタジアムではFC東京がセレッソ大阪を1-0で下して決勝進出。史上初のJ2同士による決勝となった。今期のJ2リーグ戦、FC東京には2試合トータル2-10で敗れている。だからこそ、今のサンガでどこまで出来るのか。借りを返す時が来たのではなかろうか…


 そんな12月29日。天皇杯準決勝はもちろんのこと、コミックマーケット81(冬コミ)のサークル参加の日でもあったのです。夏に続く2回目の参加で、新刊は『公共交通機関で行くサッカースタジアムの旅 Vol.2』。開場から沢山の他サポに来ていただいて、シーズンの思い出話、そして天皇杯への熱いエールをいただきました。山形・鹿島・湘南サポの方々にも。試合中も、来ていただいた方々の顔が思い浮かび、応援にもより一層力が入ったというもの。皆さんの思いに、少しは応えられたでしょうか。まだ戦いは続きます。


 2011年のサンガの戦いは、今日国立の勝利で一旦は幕を閉じました。
 2012年1月1日。京都サンガF.C.は元日・国立で新しい年を迎えます!

 待ってろ天皇杯!待ってろゼロックス!!待ってろACL!!



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